蒲生邸事件 [読書]
そこでは今も、佇むふきの髪に肩に、
ふたりが初めて出会ったあの日、
昭和十一年二月二十六日の雪が降りつもる。
美しく切ない。
そして重さも感じたラストの一文、ちょっと涙でた。
日本SF賞を受賞した長編ですが、
私にはSF的側面よりも
歴史の重み、言い訳しない潔さが印象的でした。
私は、あの頃の日本人の生きかたが好きです。
まっすぐつらぬいてた。ちゃんと「公」があった。
ふきのちょっとした振舞、文机の様子にもこみあげてきました。
かわってはいけないもの、あると思った。
そんなことを言うのはずるいですよ。
「今カラデモ遅クナイカラ、原隊ヘ帰レ」
孝史さんはね、あたしとは違う軍隊の兵隊さんなんですよ。
それも新兵さんです。
帰らなくちゃね。
ふきが右手をあげて、敬礼をしてみせるのが見えた。
手の甲がぴんと伸びた、きれいな敬礼だった。
新兵さん、さよなら。
ふたりが初めて出会ったあの日、
昭和十一年二月二十六日の雪が降りつもる。
美しく切ない。
そして重さも感じたラストの一文、ちょっと涙でた。
日本SF賞を受賞した長編ですが、
私にはSF的側面よりも
歴史の重み、言い訳しない潔さが印象的でした。
私は、あの頃の日本人の生きかたが好きです。
まっすぐつらぬいてた。ちゃんと「公」があった。
ふきのちょっとした振舞、文机の様子にもこみあげてきました。
かわってはいけないもの、あると思った。
そんなことを言うのはずるいですよ。
「今カラデモ遅クナイカラ、原隊ヘ帰レ」
孝史さんはね、あたしとは違う軍隊の兵隊さんなんですよ。
それも新兵さんです。
帰らなくちゃね。
ふきが右手をあげて、敬礼をしてみせるのが見えた。
手の甲がぴんと伸びた、きれいな敬礼だった。
新兵さん、さよなら。